ホメロス
第5週 第2日(火)
ホメロスの「イリアス」と「オデュッセイア」で語られる物語の影響は今も残っている。
コンピュータのマルウェアの「トロイの木馬」や、アメリカの漫画「X-MEN」の登場人物サイクロップスから、弱点を意味するアキレス腱、誘惑を意味するセイレーンの歌声まで、この叙事詩に出てくるものは今も、私達の文化に欠かせないものになっている。
「イリアス」と「オデュッセイア」は叙事詩で、朗唱つまり声に出して歌われていたらしく、文字に書き起こされるまでは口承で語り継がれていた。
その過程でホメロスが実際にどのような役割を果たしたのかは今も謎のままだ。
どちらの作品も紀元前8世紀かその前後に、古代ギリシャの一部で現トルコの地中海沿岸にあたるイオニア地方で成立したと考えられている。
「イリアス」はアキレウス、アガメムノン、ヘクトルなどアカイア(ギリシャ)とトロイの間で起きたトロイ戦争に従軍した英雄たちの活躍を描いている。
神話によると、この戦争はトロイの王子パリスが世界一の美女スパルタ王妃ヘレネを誘拐し、トロイに連れ帰って自分の妻にしたのが発端になっている。
「イリオス」の続編である「オデュッセイア」はギリシャ軍の英雄オデュッセウスが、トロイ戦争後に帰国の途につき、津パペネロペイアに再開するまでに見舞われる数々の試練の物語である。
故国に帰り着くのは10年もかかるが、それはオデュッセウスが海神ポセイドンを怒らせたためで、ポセイドンは、あらゆる手を尽くしオデュッセウスの航海を妨害する。
それでもオデュッセウスは、持ち前の才覚と女神アテネの助けによって、ついに故郷に戻り、貞淑な妻ペネロペイアにいいよっていた何人もの求婚者を皆殺しにした。
ユリシーズの元になったオデュッセイアがどんな話かしれることで、つながった。
現代でも使われる言葉のもとになったものがいくつもあって、原著を読んでみなきゃという気持ちに改めてかられる。