プラトン

第3週 第6日(土)

プラトン(紀元前427~前347)は、紀元前5世紀のアテネで裕福な家庭に生まれた。

彼のような立場の若いアテネ市民は政治家への道を進むのが当然とされていたが、プラトンは師ソクラテスと同じ道を選んで哲学者になった。

プラトンの哲学的著作は対話篇と呼ばれ、二人以上の登場人物が哲学的な問題を議論する形式になっている。

どの対話篇にもプラトン自身が語る場面が無いので、研究者にとってプラトンソクラテスに言わせた内容のうち、どれがプラトン自身の哲学で、どれがソクラテスの実際の発言を記した部分なのかが、問題となっている。

多くの研究者は、対話篇のうち、初期のものはソクラテスの教えを事実通り正確に記録しており、後に行くにしたがって、ソクラテスプラトンの考えを代弁する創作人物になっていったのだと考えている。

プラトン哲学で最も有名なのがイデア論である。

イデアとは抽象的・非物質的なもので、現実世界の事物は、このイデアを模倣しているとプラトンは考えた。

もう一つプラトン哲学有名なものは知識の想起説である。

魂は非物質的なもので、肉体に宿る前から存在していて、肉体に宿る以前の魂はイデアを知っている考えていた。

ただし、魂が肉体に宿ると感覚的知覚に惑わされたり制限される。

人が何かを知るというのは、魂が肉体に宿る前に知っていたことを想起する(思い出す)ことなのだというのがプラトンの想起説である。


イデアというものがどういうものか補足をしておくと、例えば人は壁に書かれた図形を見た時に三角形だと認識する。

ここで人がみた現実世界の三角形は正確な三角形ではなく、直線は歪んでいたり、角が尖っていなくても三角形だと認識することができる。

完璧な三角形が現実世界に存在していなくてもそれを知覚できるということは、完璧な存在、イデアを元から知っているいるからであると考えていたのだ。

現代的な考え方では、三角形と呼ばれるものをいくつも教えられると経験的にその共通点を自分の中で作り、三角形というもの概念・イデアが形成される。

今は脳が学習して何かを知るということが当たり前だけど、そんなことがわかっていなかった昔は、すでにすべてのことを知っているという逆転の発想で、これまた面白い